朝夕の風を涼しく感じることが増えてきましたね。
手紙のススメ第2回は、10月11月頃によく使われるお手紙の時候表現をご紹介したいと思います。
前回でもお話しましたが、時候のあいさつはかたく考えすぎないで、相手へ語りかけるようにつづってみましょう。オリジナルの文章を作ってみるのもステキですね。
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1-1 10月 神無月(かんなづき)
厳しい夏が終わり、すごしやすい季節となり、人の交流や催し物が活発になる時期。
1-2 11月 霜月(しもつき)
秋から冬へ移り変わる時期で、贈り物や頂き物が多くなるじき。
暑い夏が終わって、いっきに季節が動きます。スポーツの秋、芸術の秋、実りの秋、読書の秋、など活動的で充実した日々を連想する時期です。お手紙でも前向きな表現を使うを相手の方も楽しくなるのではないでしょうか。
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2-1 親しい間柄へのあいさつ
・澄み渡る空気が心地よく感じられるようになりました。いかがお過ごしですか。
・きんもくせいの香りに四季の移ろいを感じる今日この頃です。
※金木犀の開花は一般的に9月中旬から10月下旬です。
・虫の音が心地よく、ついつい夜長を楽しんでしまいます。
・秋の日はつるべ落としというようにすっかり日が短くなってきました。
・穏やかな小春日和になり、冬も足踏みをしているようです。
※小春日和とは・・・晩秋から初冬の頃の、穏やかで暖かいよく晴れた天気のことを言います。
「春」という言葉が使われているので、春先の暖かい天気と間違えやすいですが、注意してくださいね。
秋のだんだんと寒くなる頃に、突然春のように暖かく晴れるのが「小春日和」の日です。
・いちょうの葉が木枯らしに舞う季節となりました。
・日に日に冬の訪れを感じるようになりました。いかがお過ごしでしょうか。
・街行く人の装いもすっかり冬めいてまいりました。
2-2 あらたまった相手へのあいさつ
・木々の葉が色付き始める頃、いかがお過ごしでしょうか。
・菊花薫る季節、お変わりなくお過ごしのことと存じます。
・気持ちの良い秋風が吹きわたるころとなりました。
・いよいよ秋も深まり、朝晩には肌寒さを感じる季節となりましたが皆さまお変わりありませんか。
・味覚の秋、芸術の秋、皆さまには充実な日々をお過ごしのことと存じます。
・立冬を過ぎて暦の上では冬となりました。お変わりなくお過ごしでしょうか。
・紅葉も見ごろを迎え、はなやかな錦の秋となりました。
・日ごとに寒さが増し、冬支度にお忙しくさせていることと存じます。
・初霜の便りが届くころ、ますますご健勝のことと存じます。
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ビジネス文例と結び
ビジネス文書でよく使われるのが、「○○の候」というかしこまった表現です。
「○○」には季節の言葉を入れて、「の候」をつけます。
「候」というのは暑さ寒さなどからみた季節を表す言葉です。
『拝啓 ○○の候、貴社ますますご繁栄のことと心からお喜び申し上げます。』というように書き出します。
かしこまった挨拶は、格式高い正式な書面にそえられたりします。
季節の流れにそって紹介すると・・・
9月中旬から10月初旬頃
・仲秋の候(ちゅうしゅうのこう)・・・秋も深まってきた季節
9月下旬から10月中旬頃
・秋冷の候(しゅうれいのこう)・・・秋も深まり肌寒くなってきた季節
10月中旬から下旬頃
・紅葉の候(こうようのこう)・・・秋になり木の葉が赤くそまってくる季節
10月中旬から11月上旬頃
・錦秋の候(きんしゅうのこう)・・・木々が錦のように紅葉して美しい季節
10月全般
・清秋の候(せいしゅうのこう)・・・空が青く澄み渡った季節
10月中旬から11月初旬頃
・晩秋の候(ばんしゅうのこう)・・・秋の終わりの季節
毎年11月7日から11月21日頃
・立冬の候(りっとうのこう)・・・二十四節気に基づく「立冬」の期間にあわせて使います。
※2021年は11月7日となります。
11月前全般
・深秋の候(しんしゅうのこう)・・・秋が深まり、冬に移ろうとする季節
11月全般
・霜秋の候(そうしゅうのこう)・・・秋が深まり、霜が降りる季節
11月全般から12月初旬頃
・向寒の候(こうかんのこう)・・・日増しに寒くなる季節
といった表現になります。
「拝啓」で書き始めたら「敬具」で締めましょう。
使用例
拝啓 深秋の候、貴社ますますご繁栄のことと心からお喜び申し上げます。
平素は格別のご厚情を賜り、厚く感謝いたしております。
さて、(主文)
つきましては、(主文)
今後とも変わらぬご愛顧を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
まずは書中にてお知らせいたします。
敬具
さて、次回はいよいよ年賀状の書き方についてご案内していこうと思います。
えっ!もう!?という感じでしょうか。
秋の訪れを楽しんでいるとあっという間に年末が近づいて来ます。
新年最初のご挨拶である年賀状をワクワクした気持ちで準備できますようにお手伝いさせていただきたいと思います。
手書きのお手本もご用意しますので、お楽しみにしてくださいね。