手紙のススメ 第一回

たいていの用事はメールで済んでしまう昨今ですが、手書き文字のお手紙をいただくとなんだか新鮮で、心がふんわり温かくなる気がしませんか。

写真や動画、絵文字やスタンプまで気軽に送れてしまうSNSやメールも良いけれど、たまには大切な人に手書き文字でお手紙なんてステキです。

手書き文字にはその人の人となりが見える気がしますよね。

字が上手いとか下手とかそんなことではないその先の手紙の楽しさを味わってみませんか。

こちらのコラムでは、これから毎月一回『手紙のススメ』と題しまして、いろいろな手紙の書き方、季節の文章、決まり事などをご紹介してまいります。

手紙は送り手の『心』を届けるもの。

必ずしも形式ばる必要はありませんが、手紙の形式を知っておくと、もっと自由に、もっと楽に思いを乗せることができます。

手紙だからと構えるのではなく、道で会ったときやよそのお宅におじゃましたときと同じように会話をする気持ちで書き進めて行きましょう。

【手紙の基本構成】

前文

  • 頭語
    「こんにちは」などにあたるきっかけの言葉
    より丁寧な言い方で「拝啓」「謹啓」など
  • 季節のあいさつ
    季節の移り変わりを伝える言葉
    日本特有のあいさつでもある
  • 先方の安否を気づかう言葉
    先方へのあいさつ
    相手の近況などをたずねるのもOK

主文

  • 本題の用件を伝える文章
    相手に話しかけるように書いてみましょう

末文

  • 結びのあいさつ
    用件をしめくくる言葉

後付け

  • 結語
    頭語とペアで使う手紙を締めくくる言葉
  • 日付
    日付だけでもOKですが、改まった手紙には年月日を入れます。
    縦書きの場合は年号で書くのが一般的
  • 署名
    丁寧な文章にはフルネームで

こんな風に大きく三つの段落+後付けに分けて書くとテンポよく伝えたいことを書くことができます。

例えば、身近なところで田舎からトウモロコシが送られてきた・・・なんて時のお礼の手紙を書いてみましょう。今回は親しい人への手紙ですので、形式を意識しながらも硬くなりすぎないように表現してみました。





大分のおじいちゃんへ

こんにちは。ムシムシした日が続きますが、大分のみんなは元気にしていますか。

先日はたくさんのトウモロコシをありがとうございました。

近所のお友達におすそわけしてまわったら、とっても喜んでくれましたよ。

今年のトウモロコシもとっても甘くて美味しくいただきました。

夏休み、お盆のころに帰れたらいいなと思います。

これからますます暑くなるとは思いますが、おじいちゃんもみんなもお体に気を付けてくださいね。会える日を楽しみにしています。

                                                                                                 つかさより 





いかがでしょうか。こんな何気ない短い文章も手紙の基本を参考にすると簡単に思いを伝えることができますね。

手紙を読んだときに、その時の情景が思い浮かぶように書くのがコツです。

来月からいろんな場面を例に挙げて説明していきますので、お楽しみに。

ふみの日

ちなみに、毎月23日は『ふみの日』です。2が「ふ」、3が「み」ですね。

中でも7月は古い呼び名のひとつとして文月(ふみづき)と呼ばれます。『文月ふみの日』には毎年ふみの日にちなんだ切手が発売されます。今年は1日前の7月22日に発売されるようです。気になったらぜひ調べてみてくださいね。

暑中見舞い/残暑見舞い

これから暑中見舞い/残暑見舞いを書かれる方もいらっしゃると思いますので、ご紹介します。

一般的に、梅雨が明けた7月半ばから8月8日ごろの立秋までは「暑中見舞い」、立秋を過ぎたら「残暑見舞い」を送ります。残暑見舞いもなるべく8月中に届くようにおくりましょう。また、目上の方には「見舞う」という言葉は失礼にあたります。目上の人に出す際は、「見舞う」のかわりに「伺う」を使うとよいですよ。

友人・知人へ

暑中お見舞い申し上げます。

残暑お見舞い申し上げます。

目上の方へ

暑中御伺い申し上げます。

残暑御伺い申し上げます。





その後に続く季節のあいさつの書き出し事例

【7月】

夏空がまぶしく感じられることとなりました/

厳しい暑さが続いておりますが・・・/

山や海が恋しい季節となりましたが・・・/

ビールがおいしい夏がやってきましたが・・・/

【8月】

立秋とは名ばかりの暑い日が続いておりますが・・・/

虫の音に秋の気配を感じます/

夏休みをご家族で楽しんでいますか/

冷やしたスイカがおいしい季節ですね/





暑中見舞い/残暑見舞いの時は、頭語・結語(拝啓・敬具)は必要ありません。

難しく考えるのではなく、ありのままの姿を表現してみるのも楽しいですね。

季節のあいさつ状は、四季のある日本ならではの習慣です。久しぶりの方に近況を知らせるうえでも、きっかけとなるとても便利なコミュニケーションツールです。季語を組み入れたり、季節感のあるはがきや便箋を使ったり、楽しみながら書いてみましょう。

小さなお子様がいらっしゃる方は絵を添えるのもステキですね。

今年の夏、あなたの大切なあの人へ手書き文字で手紙をしたためてみませんか。

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